本編を書き終えて。


長々と書いてきましたこの話。
実は全ては七夕の日に始まったのです。まずはその日の日記抜粋。


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7月7日

ナマモノ七夕更新をするはずだった。
あちらでやってる連載の中で七夕シーンを作ってたし。
ところが、感動のシーンのリライトをしている間に、ふっと魔がさした。
そりゃもう、来週の夷隅さんがハガシやっちゃうくらいの魔である。
瞬間、ビルダーでひらいてたナマモノHPのページを締めて、きらきらひかるの方を開いちゃったんだから、まったく「ハガシ」そのものなんだが。

七夕ねえ…とか思ったら、短冊に、「あらざらん」を書く行洋さんの姿がふっと浮かんでみたのだ。
あらざらん…は、和泉式部の百人一首に入っている歌。
逢ってもいねえのに、それはねえよな、ふふふ…と自嘲してみるも、妄想のほうが勝手に先に進むわけで。
短冊に「あらざらん」なんて書かれたら、佐為のこのこ出てきちゃったりしないかな。
時代考証的には紫式部とか清少納言と近いなら、和泉とだって近いわけだし。
この一句が、とてつもない妄想につぐ妄想を生むことになるとは…。
ためしにちょこっと書いてみたりする。…台詞…かたい…。でも楽しいかも。
頭で想像してみたりする。
月明かりだけを頼りに対局する行洋と佐為……あら?ちょっとこれって美しくない?
回想シーンでは対峙してる二人だけど、実際の対局はネット碁。
脳内補完で実際に一回くらい対局させてあげたっていいんじゃない…?
平安…では親子だし、ラブラブはムリそうだし、平安では光と佐為がラブラブすぎてそこまで妄想が羽ばたかない。

行洋が相手で考えると、佐為ってばなんちゅう誘い受けなんだ…。
打ちながらシアワセそうな顔してそうだよ。めちゃくちゃ綺麗な気がするよ。
行洋サンは、受キャラだとは、確かに思うけど、相手が佐為なら私の頭なら文句なしに攻だろうさ。ヒカルでも攻になれるんだぜ、あたしの頭んなかだったら。
しかし、かなり厳しい設定になるよな。…どう考えても夢オチくらいしかない。
同人で夢オチって、死ぬほど恥ずかしくねえか?
しかしここで本編が頭をよぎる。これこそほんとの魔の一瞬。

まあ、ヒカルの夢にだって出ちゃう佐為だ。一回くらいの過ちならアリなんじゃないだろうか。
書きたいもの書くのが腐れパロディの王道。
ヤマナシオチナシイミナシでやおいだ!

「あらざらん」とかで呼び出されちゃったら、佐為はどう返歌するだろう。やっぱ同時代の歌だろうか。詠んですぐに行洋に意味が伝わるようにするためには、メジャーな歌じゃないと設定としてマズイだろうな。オリジナルに作るよりガツンときそうだし。
打ち終わった後で「逢い見ての」とかになるんだろうか?うわっ、それってば熱くない?ちょっと熱すぎるかも?
じゃあ「玉の緒よ」とかってなったら、もう誘い受け確定じゃんか。
ああ、でも、やっぱ行洋に誘ってもらいてえな。
オトナ同士だもんなあ。
「もう一局…盤を使わない対局を…」とか言っちゃったら、普通の碁打ちなら「コロス」ってトコだけど、行洋ならありえる気がする。なんせあのアキラの父親だ。死にそうな台詞でもなんかカコイイ!にしてくれる気がする。
佐為のヌードってさすがに想像しにくいけど…まあ、さしあたって太陽になんかちゃんと当たったことないだろうから、シミ一つない肌なんだろうな。
うわ、狩衣脱がす?脱がしちゃう?てことは烏帽子も取る?
OKの代わりに自分で烏帽子取っちゃったりしたら…うわ、そりゃぎゃふんだわ!

ああ、でも普通に綺麗に書きたいな。
かなり綺麗な絵面だもんな、髪とか乱れちゃったりするんだろうなあ、きゃは。
白い狩衣の上に横たわるなお白い肌…ぎゃーーーーーーー!
鼻血ぶーだ、ぶー…。

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…これですよ、最初のとっかかり(大笑)
で、結局この後構想が二転三転していって、今の形になってゆくんですが、原点はこの日記(笑)
自分で読んでも恥ずかしいわねっ(^^;)

とにかく、こんなネタ、1回しかかけないだろうと思ったから、かなり必死になりました。
最初の一ヶ月、7月は体重が二キロ落ちました。
特に対局シーンあたり、もう入れ込んで入れ込んでばふばふ言いながら書いてたから、普通の社会人としての生活すら危うかった(笑) しかぁし。
もともとのジャンルにおいて、濡れ場を褒められることが何故か多かった私としては、濡れ場に入ればちょちょいのちょいよ!絵はもう浮かんでいるんだし、それを書けばいいだけvv
と、思っていたんで、その後のてこずりようにはかなり荒れ苦しみました。途中駄文録ですら愚痴ってましたもんね(^^;) あの時はお見苦しいものを失礼いたしました。
私、書くの早いほうなはずなんですけどね…。
更新履歴を見ると、其の六まではいいペースなので、いかに濡れ場に困ったか分かっていただけると思います。

各回の冒頭の歌は、どれも自分のお気に入りです。
和泉式部は私の大好きな歌人でして。んで、佐為にも強引に好きになっていただきました(笑)
短文のところは、いい歌が見つからなかったというのもあるけど、中身とあわせて書いたつもり。
この歌だけは最初の時点でもうかなり絞って在りました。平安時代の歌ねー、ちょっと懲りすぎてるきらいもあるんですけど、やっぱり綺麗なんですよ。難解なものも多いんですけどね。
私自身、そんなに詳しいわけでもないので、比較的メジャーで分かりやすい歌を掲載したつもり。…ですんで、あえて解説は載せませんでした。分かる人は面白がっていただいて、分からない人には大意で読んでもらって、それなりに楽しめる歌ではないかと思います。

本当はこの話、もっともっと長いんです。多分。
実は書いていた部分だけでも、かなりあって。この「其の一」の後、七夕にヒカルが塔矢家に遊びにくるんです。行洋は「saiと再戦したい」と言うのですが、ヒカルは「俺には、saiと先生を対局させることはもうできないんです」と、いう苦し紛れな返事をする。
行洋はもうsaiがこの世にいないのかもしれないと、なんとなくは悟るわけです。で、思わず神に縋る思いで書いた短冊が「あらざらん」だったというエピソード。
次がそれを知った佐為が天上界にて、阿部晴明に頼み込んで下界に一夜降りる約束を取り付けるエピソード。
自分の中での生存時期を考えると佐為のしっている晴明は、かなりジジイなんですけど、天上では皆若いっつー設定で、「あの頃のワシはもう老いぼれじゃったが、今のワシとなら寝てもよかろう?」とか言っちゃうセクハラ爺です(笑) で、ありえねえようなハンデを背負って、対局してこのジジイと勝った佐為がまんまと下界に下りるわけです(笑) ちなみにこのエピソードの中では、前年ヒカルの夢に出れたのもこのジジイのおかげ。そこで喋れなかったのが残念だったか、今年はパワーアップしてもらったらしい(笑) つか、それはジジイのしゃれっ気ってことで。
で、この佐為が降りたのは一応お盆なんですね。だから明子ママいないんですよねー。そういう明子ママが出かける記述も最初はあったんですけど。
でも、とにかく行洋と佐為の話を綺麗にタイトに書きたかったので、ボツにしました。
…え、タイト…?(大笑) 本人はあれでも十分タイトにまとめたつもりらしいです。

1回限りってことで、書き残しがないように頑張ったつもりですが、濡れ場にはかなり悔いが残ります(笑) あんなこともこんなこともさせてあげたかった…!(爆)←大ばか者。
濡れ場もね、それなりに事前にいろいろ考えてたんですよ。ここまではこの体位とか、本気でメモ書きしてあるもん(笑) 結局かなりずれたけど(^^;)
しかしなんせ夢の中ですから、小道具もお酒も使えない。いやはやかなりの茨道でございました。悔しい〜!そういう設定にしたのは自分のくせに悔しかった。
この悔いは、…近々これの終章を書き終えたら一部公開する平安佐為様総受け部屋ではらしてみせるわ!(大笑) ←晴らすんかい(苦笑)

原作中、佐為が「打っているものだけが閃くのです」と言いますが、小説も同じです。
「書いているものだけが閃く」そういうことって、確かにあります。書いている途中じゃないと、出てこないフレーズとかあります。
今回はない頭を振り絞って書いたわけですが、それでも降って沸いた言い回しとか、いくつかあります。ありがとう、神様…などと無宗教のくせに、こういうときだけそう思ったり。

自分で気に入っているのはやっぱり苦しんだ対局かな。耳赤のあたりとか、佐為の思い切りのいい性格も出せたかなって。
で、不評?なのに自分ですきなのは「忘れるなどとそんなことは許さない」のあたりの行洋様。あそこが一番行洋さまらしくカッコいいかなって思って書いてたんですけど…その後の「甘い」の台詞のせいで全部帳消し?…かもしんないっすね。
行洋にはかなり察しのいい人になってもらいましたが、それでこそ佐為ちゃんの相手っつー人であって欲しいと(笑) 深く追求しなくても佐為のことがなんとなく分かる、そういう人でいてほしいなと思いまして。幽玄の間で打った時にイロイロ気付いてくれたじゃないですか、原作で。あの時、佐為、絶対嬉しかったと思うんですよ。だからもお、実際打てたら彼らは絶対フォーリンラブだと、私的には固く信じて疑いません(大笑)
途中甘い〜というご指摘も受けつつ(笑)、行洋様のキャラをぶっこわしつつ(汗)、それでも結局書いちゃった(笑) ごめんなさい、行洋様。
佐為より、むしろ行洋さんのキャラを壊してしまった感が大きいので、ここで謝っておきます。
ごめんなさい、行洋様ファンの方。

今回の裏テーマは日本語を絢爛豪華に使う、でした。
難しい漢字とかも私にしてはいっぱい使ってしまったけど、ヒカ碁ではこの組み合わせじゃないとありえないと思って思い切って好き放題、使いたい放題使いました(笑)
三島由紀夫の短編とか、山田詠美の短編集とか、果ては元祖お耽美作家森茉莉様の作品のような、ああいう匂いを目指しました。だから、途中頂いた感想で空気感があると仰って頂けた時は、嬉しかったです。
それでも佐為ちゃんの美しさを表現しきれてない気がする…自分、もっとがんばれよ。
目指せ、神の一文!…なんか違うな…(^^;)
あと、なるべく説教臭くならないように気をつけたんですけど…特に其の九。それでも説教臭さを感じた方がいたらごめんなさいで(謝ってばっかだな)

どうのこうの言って、でも書いてて楽しかった。
苦しかったけど。
ありがとうございます、佐為ちゃん。そして行洋様。
それから、読んでくださった貴方様。
たくさんの感謝と御免なさいがつまった御話になりました。
途中トラブったりしたけど、書き終わることが出来てよかったです。
ありがとうございましたvv


----追伸
最後の終章は…もうお分かりでしょうが…ヒカルに出てきてもらいますvv
佐為好き同志(笑)、楽しい語りをしてくれたらいいんですけどねっ。←そりゃムリか。
それからNG集も、最終章UP後に。 これ、かなり情けなくて笑えます(^^;)
しょこらん、こんなに煮詰まって書いてたのね…と、苦笑い確実。






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